誰も知らない街へ行きたい
ワンルームの角っこ、エアコンのプラグのところ、オレンジっぽい小さなライトが照らした天井。
わたしは週に一度しか訪れない部屋のさまざまを眺めながら、綺麗になったとかかわいいと言って欲しかっただけなのに、でもこういうふうになるために綺麗になったんじゃないとか、もう二度と幸せになれないんだろうなとか考えたりしてた。
全部が面倒になって、わたしは本当に、少し若いだけの肉と穴になってしまった。
睡眠薬を頻繁に飲んでいた時は、からだがいつもと違ったから、今回がいいんだか悪いんだかわからなかった。よかったし、悪くもあった。
わたしは、一年以上前のことを考えて、あの時電気を消さなかったらどうだったんだろうと考えた。もっといろんなことが見えただろうし、わたしのサインにも気付いてもらえたのかもしれない。
何もかもが違うのに、共通点を見出そうとしたり無理に思い出を重ねることにうんざりした。個別の事象なのに、何かが何かの伏線で、全て繋がっていているのだと思い込みたかったのかもしれない。
二部屋のマンションやCHANELのマフラー、肉のない指に綺麗に収まっている指輪。
全部持ってて全部悔しい。わたしだって本当は暮らしたい人がいたもん。帰りを待っていたかったし、待っていて欲しかったもん!調子乗りやがって!理由もなく、泣いてるわけないじゃん!
関西に行かないでって言ったけど、関係ないじゃん。仕事始まったらきっともう会わないんだもん。わたし、自分を知らない人ばかりのところへ行きたいよ。そして、今度こそ、誰ともどういうこともなく終わりたいよ。
おわり