明るい未来に就職希望
全部ずるい。大人のくせに。
わたしがいてよかったねと言ってやりたい。
いつまで“当たり前”があると思ってたんだよ。
大人のくせに、情けない顔しないでよ。わたしは、1番大変だったときに、誰にも言えなかった。誰にもそんな顔見せられなかったよ。めちゃくちゃになりそうになる。あの時誰かがいてくれたら、もっと歳をとっていたら、
わたしは、あの時から今もずっと苦しんでいるのに。そしてこれからも抜け出せないだろうに
大事なのはタイミングなんだ。わたしの薬指は標本にはならない。記憶も、感じたすべても。不幸なことにずっと持ち続けなければならない。
体温、手の感覚、涙、重みや柔らかさ、かたさ、厚さ、風の音、肉付きのいいからだ、守ってあげたい女の子。わたしは自分が作り上げた幻想を追っていただけなのかもしれない。
本当はぜんぶうそな気もしなくもない
この先も、というかこの先はないが、爪痕ひとつ残すこともできず、あっさりと切り捨てられていくんだろう。
わたしが感じた痛みだけが、消えることなく残り続ける。
おわり